ダメンズ恋愛教本

僕は貴女のサンドバックじゃないよ。と言った時にわかってたくせに、それでもズルズル続けた恋はやっぱりダメでした。

舞の話 3

ニヨニョしているクソオヤジ共を尻目に彼女にいろいろと教えることになった。

教えるのは嫌いじゃないしもともとの性質が少々おせっかいな僕としては負担ではないのだが…

その頃ダメンズとしての頭角をめきめきと現してきていた僕としても下心はあったし…(最低)

 

 

 


舞は、はっきり言って全然だめだった。
練習するための練習から始めなきゃダメなレベル。

 

僕から教えれる事は本当に少ない。

なぜならば、レベルが違い過ぎるから話がかみ合わないのだ。

しかしながら、誰もがみんな初心者だし、僕自身も最初は由良さんにいっぱい教わった。
初心者には門戸を広くとらなければ、その業界は先細りだ。

 

だから、純粋にできることを教えた。

 

練習も終わった頃、僕は二人分の缶コーヒーを買った。

おっさんらは先に帰ったようだ。

 

無言で彼女にそれを渡す。

 

「え?!いいの?」

無言でうなずき、それを差し出す僕。

 

彼女が受け取ったことを確認すると、僕は無造作にベンチに腰を下ろす。

また、それに続くように彼女もベンチに腰掛ける。

 

ただ…

 

距離がやたらと近い。

パーソナルスペースに確実に侵入している。

 

 

おもむろに彼女が口を開く。

「ぴすたんの教え方凄く上手でした~」

 

 

(ぴすたん…?え?今そう呼ばれた??)

 

「あのね。舞、大丈夫ですよ。今日やったこと、明日になれば、えいっ!てできますから。うふふふ」

「そうだね」

僕はにこにこしながら答える(営業スマイル)

 


「ぴすたんにお願いがあります!」


(ぴすたん…間違いないよね)

「連絡先教えてください♪」


ぴすたん…
出会って数時間で年上の男性を…ぴすたん…

僕は通信アプリのQRコードを出して差し出した。

 

彼女も携帯を出して一生懸命操作している。

その形態の液晶画面にはヒビが走っていた。

僕はそれを、へぇ…と思いながら眺める。

 

 

 

家に帰ると、連絡が来ていた。

 

今日は超楽しかったです♡ 

また教えてください♪

 

練習の疲労感でベッドに突っ伏しながら、ぼーっとした頭で僕が考えたことは。

 

「この子と多分できるな」

 

 

だった。