ダメンズ恋愛教本

僕は貴女のサンドバックじゃないよ。と言った時にわかってたくせに、それでもズルズル続けた恋はやっぱりダメでした。

由良さん 2

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その日僕は凄くドキドキしていた。
いや、本当は前日から。

初めての趣味のオフ会。
ネット上でやり取りはしていたけれど、まさか本当に参加することになるとは…

そりゃ趣味とはいえ技術の向上ってか単純にうまくなりたい。
基本一人でする趣味だけど発表の場も他の人の技術も教わりたい。

けど、人見知りの僕が集団に入っていけるの…?
いや、いけるはずだし…

そんな色々で眠れなかった。
朝、目覚ましもなく5時に目が覚めた。
二度寝を試みるも眠れない。

携帯で今日参加するオフ会のページをみる。

誰も起きていない。当然だ。

布団の中で寝がえりを何度もうつ。

 

結局寝たのか寝てないのかわからないけれど、予定通り7時に目覚ましが僕を起こしにくる。

起きてシャワーを浴びて、コーヒーを挽いて。パンを焼く。
そわそわしているのが分かっているので余裕のある日曜日と同じルーティンを踏む。

ちょっとでも落ち着きたかった。

 

 

 

 

だめだ。

そわそわする。
グリーンに水をやりながら思わず声が漏れていた。

緊張しすぎじゃない?

問いかける問いに当然答えなどない。
かわりに愛猫が眠たそうに窓側であくびをする。


前日に何度も確認し、荷物を詰め込んだリュックを手に取り、お気に入りのコンバースを履く。

 

駅までの道は緊張で帰りたくなった。

それでも、このいい天気の中、大好きな趣味の事を話せるのであれば楽しいかもしれないと自分を奮い立たせながら駅の改札を通る。

 

電車で揺られること20分。

 

改札を出たすぐが待ち合わせ場所だった。

改札を通る前から

 

ああ、ついてしまったし、あそこにいるグループがそうなんだろうな…とわかり覚悟を決めた。

 

「おはようございます」

一斉に5人の瞳が僕の方を向く

 

「今日はよろしくお願いします」

 

緊張のあまり、僕は自分の名前を言っていなかった

 

今回のオフ会の中心人物であろう人が早速助け船を出してくれた。

「ぴす君ね!今日はよろしくね!!」

 

ゆるふわの髪、少しタイトめの服装がよく似合う細身の綺麗な女性

ガーリーだけど凄くアクティブな雰囲気

 

まぶしい笑顔のその人が由良さんだった。